発想力を伸ばすコツとネタ集めのポイント

アイデアをぽんぽん「発想」できるひとがいます。

斬新な視点で、新しいプロモーション企画をもってくるアイツ。問題にぶちあたると、思いもよらぬ方法で切り抜けるアイツ。

そんなアイデアマンをみて、「ヒラメキって才能だよなぁ」とあなたはつぶやくでしょうか?

もしそうなら、あなたにそっと伝えたい。

ヒラメキは才能じゃない、それは単なる技術なんだと。練習さえすれば、誰でもアイデアマンになれるんだということを。

発想の世界でバイブルとされる名著「アイデアのつくり方」で著者のジェームス・W・ヤング氏はこう言っています。

「私はこう結論した。アイデアの作成はフォード車の製造と同じように一定の明確な過程であるということと、アイデアの製造過程も一つの流れ作業であること。<中略>この技術を習得することがこれを有効に使いこなす秘訣である」

すごいことを言いますよね。あれほどあなたの頭を悩ませる「発想」という作業を、このひとは「流れ作業の技術だ」と断言しています。あたかも、習字やそろばんのように。

でもそれは本当だと僕は思います。

あなたがもし習字やを習っていたのなら、今でも毛筆を手にすれば、普通のひとよりは上手にできますよね?

「発想」もそれと全く同じ。才能なんて実は必要ないのです。

「発想」の正体は「万華鏡」。

ヤング氏は同著の中で、アイデアをこう定義しています。

「アイデアとは、既存の組み合わせ以外のなにものでもない」

有名なフレーズなので、知っている人も多いかもしれません。このフレーズは、発想の一般的な定義として定着しています。

逆にいえば、アイデアをつくりだすには、まず組み合わせるための材料が必要だ、ということ。「組み合わせるための材料」、それを「ネタ」と呼んでみましょう。

つまりネタをいろいろ組み合わせ、「新しい組み合わせ」を発見すること、それが「発想」の本質ということです。

「完璧に新しいアイデア」こそがアイデアだと思い込んでいませんか?だけど、実際に人を唸らせるアイデアとは、「どこかで見た、だけど何かがちょっとだけ違う」そんなアイデアであることが多いのです。

それは小さい頃に誰もが遊んだ、あの「万華鏡」に良く似ています。

思い出してみてください。万華鏡が描き出すあの絵柄。

石やガラスのかけらを入れ、クルクルまわすと、それだけで数千、数万の絵が映し出されます。同じ石でも、角度によって見え方は幾万通りにも変わります。どの絵柄も似ているようでいて、全くちがいます。あの多様さ、あの新鮮さ。

「発想」はまさに万華鏡です。石やガラスの代わりに「ネタ」を入れ、クルクルとまわしてみる。するとそこには幾通りものネタの組み合わせを見ることができます。「これだ!」と思ったところで回転を止めてみる。それがあなたのアイデアです。

「アイデアを映し出す万華鏡」。そんなスゴイ道具が欲しかった。

だからマインドピースを作ってみました。

マインドピースは、この「アイデア万華鏡」を実現するために、次の2点に照準をしぼって設計されています。

  1. 自由なネタの組み合わせを表現できること
  2. あらゆる種類のネタに対応できること

ネタを見つけたら、どんどんマインドピースに放り込んでください。ネタが集まったら、クルクルまわすごとく、いろんな組み合わせをその場で試せばいいのですから。

あとは「これだ!」と思う組み合わせを「発見する」だけです。

もちろん「発想」するのはあなた自身。マインドピースはそれをサポートするにすぎません。でもマインドピースを使うことによって、ネタのインプットから、それらの組み合わせ、そして「着想」までの流れが、圧倒的にスムーズになります。

いったいどうやってそんなことを実現するんでしょう?
「発想」をサポートするそれぞれの機能を探ってみましょう。

発想の基本形。 ポストイット機能

発想をうながしたいのなら、ノートに箇条書きや文章で書いていては意味がありません。大きなスペースを用意し、自由な場所にネタを貼っていける環境を整えましょう。

なぜなら、ネタ同士の順序や構造はひとつではないからです。自由にネタを配置できることで、ネタの結びつきや可能性を数多く拾うことが可能になります。

会議室が使えるなら、マインドピースなど使う必要はありません。ホワイトボードを占領し、大判のポストイットを、好きな位置にペタペタと貼っていきましょう。

マインドピースにはその環境を再現するために「ホワイトボード機能」そして「ポストイット機能」があります。

起動し、新規書類を開いたら「ウィンドウ」メニューから「ホワイトボードモード」を選びます。するとフルスクリーンになり、アイデアに集中できます。

スルドイ人は気づいたかもしれませんが、そのままプロジェクタに出力すれば、複数名でのブレインストーミングのホワイトボードとして活用できます。ブレスト会議が多いひとは是非活用してみてください。

画面いっぱいにステージを埋めたら、あとは「ポストイット機能」でネタをペタリ。どんどんスペースをつぶしていくだけです。

「好きな位置に適当にアイデアを貼付ける」ということが、ノートに箇条書きで書いていくことに比べ、何倍も「発想」につながることを感じてみてください。

目の前には、いくつかのネタが、あるいはアイデアの断片が無造作に置かれています。あなたはそれを眺めます。箇条書きや文章だと数ページにわたる内容も、ポストイットに要約して貼れば、視界の中にすべて収まるでしょう。

そこからあなたがが感じること。それはネタ同士の自由なつながり。あなたが置いたネタは、視界の端から端まで積極的に対話をはじめます。それは「アイデアを風景として感じる」ということに近いものです。

ピース同士に結びつきを感じたら、ドラッグ&ドロップで繋げてみましょう。グループ化することで何かを「発見する」こともあります。


やがて放射マップになり、ひとつの「絵柄 = アイデア」として「ワカル」こともあれば、全体からインスピレーションを得て、まったく違うアイデアを着想することもあるでしょう。

脳が活性化し、つぎつぎとアイデアが湧いてくる自分に驚いてください。

テーマから発想するワザ。 5W1Hマップ

あらかじめテーマが決まっているときがあります。そのテーマについて、とりあえずアイデアを出さないといけないというとき。あるいは、漠然とそのテーマについて自分なりに考えてみたいというとき。

そんなときもやはり、放射マップの手法が役に立ちます。

やりかたは「理解力」の章で触れた手順と同じです。まず中央にテーマを置き、自由に発想します。思いついた項目をサブテーマとしてのばしていきます。

でも「自由に発想する」というのは意外と難しい。
そんなときに役に立つフレームワークがあるので紹介します。

それは、あなたもよく知っている「5W1H」

なあんだ、と思いましたか?報告書やレポート、情報伝達のマナーでおなじみのフレームワークですが、実は発想の過程にも使えることはあまり知られていません。

ためしに、身近なことを考えてみましょう。たとえばあなた自身のこと。「3年後の自分」というテーマはどうでしょう?他によいテーマがあれば何でも良いんですが、とりあえずトレーニングとして考えてみましょうか。

まずは中央に「3年後の自分」と書いたピースを配置してください。
で、サブピースとして、

 「どうなった?(具体的に)」(=What)
 「いつからそうなった?」(=When)
 「どこでそうなった?」(=Where)
 「だれとそうなった?」(=Who)
 「なぜそうなった?」(=Why)
 「どうやってそうなった?」(=How)

以上を追加してみましょう。

いかがですか? いままでそんなことを考えたこともない人でも、このように問われると、イメージが膨らんでくるのではないでしょうか?

やがてイメージの連鎖が始まればしめたもの。思いついたらどんどんピースを埋めていきましょう。ピースが足りなければ、好きな場所に新しいピースを足せばいいのです。ためらうことはありません。発想のおもむくままに枝をのばしていけばいいのです。

3年後、自分は何者になっているのか?
あるいは何者になりたいのか?

このとき、インタビュアーはあなた自身。自分に対して適切にインタビューできるかどうがが、この方法のカギとなります。

誰もが知っている「5W1H」ですが、このように使えば、自分の中の発想を引き出す「問い」として活用できるというわけです。

漠然としたことであっても、テーマを決め、適切な問いを立てることで芋づる式に「発想」できることに気づいていただけましたか?

頭が活性化したら流れに身をまかせてみましょう。アウトプットすればするほど考えは明確化し、どんどんマップが大きくなるはず。放射状なので、ある項目が気になれば、好きなだけ枝を伸ばして深く探求できるのもこの方法の利点です。

とくにこのような「未来マップ」は自己イメージが素直に投影されるため、「現在の自分」と「あるべき自分」との差がよく分かります。より詳細に枝を伸ばすことで、「今の自分に足りないもの」や「具体的にどうすればよいのか」という「行動イメージ」が見えてきます。これはすごいことですよ。

テーマを中心に「5W1H」というフレームワークを使いアイデアを「爆発」させていく。その面白さをイメージできますか?

強引に意味をもたせる奥の手。ステージテーマ機能

時には、放射マップもKJ法も歯が立たない場合があります。

どうにもこうにも混乱していて、発想のとっかかりかりがなさすぎるとき。グルーピングしても意味がなさそうなとき。

そんなときの奥の手が「ステージテーマ機能」です。

ステージテーマはいわゆる背景。でもただの背景ではありません。それぞれに「テーマ=意味」を持っているのが特長です。

やりかたは簡単です。

まず最初に適当なステージテーマを選びます。下部スクロールバー左の「ステージテーマボタン」をクリックし、一覧メニューからテーマを選択します。あとから何度でも変更できるから、まずは直感で選びましょう。選択するとすぐに背景が変わります。

次に、集めたキーワードをテーマに合わせて配置してみましょう。考え込む必要はありません。背景のルールに身を委ね、ここだと思う場所に置けばいいのです。配置し終わったら、そのマップ全体が意味するものを洞察してみましょう。

何も見えてこなければ、テーマを変えて最初からやるだけ。直感を信じましょう。

たとえば、問題が「互いに交差する2要素に影響されているはず」と仮定してみましょうか。その場合はテーマ「交差AB」を選びます。バックグラウンドが交差した円のチャートになります。

それぞれのピースをふさわしい場所に配置してみます。そうすることで、見えないものが見えてきます。

やがて「4つの方向性がありそうだ」と感じたとします。そのときはすかさずテーマ「分割ABCD」に変えてみればいいのです。

するとこんどは4象限に区切られたエリアが現れます。自分の好きなポジションにピースを移動させるだけで、「ああ、そういう関係性だったのか!」と全体の意味を「発見する」ことはよくあることです。

ステージテーマをとはすなわち「ルールを持った背景」。その強制力になんとなく従っているうちに、バラバラだったピースが、躍動感をもってひとつの意味を「生み出す」というわけです。

ヒラメキを生む「リズム」がある。ショートカット機能

ポストイット式でも放射マップ式でも、アイデアを追加していくときに気をつけたいことがあります。

それは「リズム」。

アイデアに集中していると、ときどき泉のごとくアイデアが湧き出るときがあります。「自分は天才なんじゃないか」と思ってしまうほど。

「ん、はい、ん、はい」そんなリズムでポストイットを足していくとき。

そんなときは、一つ一つのアイデアを細かく書いていては間に合いません。それこそ短い単語でどんどん書いていく必要があります。

そんなときはマウスを使わずに、キーボードだけで勝負したい。

複雑なことを実現するマインドピースですが、ほとんどの作業が「ワープロ並みの操作」でできることは案外知られていません。

たとえば、よく使う操作はこんなキーに対応しています。

同階層にピースを追加RETURN キー
子階層にピースを追加TAB キー
ピースを削除BACKSPACE キー
ピースを編集SHIFT + RETURN キー
選択範囲を移動矢印キー

ワープロ並みという操作感をイメージできるでしょうか?

たとえば、ポストイット方式でアイデア出しをするとします。

アイデアを思いついたらその場でリターンキー。するとピースが追加されるので、アイデアを入力します。また思いついたらリターンキーでピースを追加。10分も集中すれば、あなたのアイデアで画面は埋め尽くされます。

放射マップでのアイデア出しも同様です。

同階層のピースは「リターンキー」。子階層なら「タブキー」を押すことで、とっさにピースを追加できます。また矢印キーで選択移動も自由なので、キーボードから手を離すことなく、気がすむまでアイデアを掘り下げることが可能です。

アイデアの逃げ足ははやい。
また、リズムから生まれるアイデアもある。

キーボードを活用することで、リズムの中断を最低限におさえたいものです。

 
 
 
 

関係あると思ったものは全部ネタ。直感を信じて。マインドピース式ネタの集め方

さて、ここからネタ集めの話に入ります。

マインドピースは「アイデアを映し出す万華鏡」だといいましたね?ネタという石やガラスから、アイデアを映し出すのだと。

とすれば、こうもいえます。

ネタが少なければ、見える絵柄のバリエーションは貧相なものになるということ。

発想にとって、それぐらいネタというものは大切な存在です。

さて、ひとくちにネタといってもいろんなネタがありますよね?

参考文献からの引用もあれば、新聞や雑誌の切り抜き、同業他社のパンフレットなど、文字を中心としたネタもあれば、写真やイラストなど、画像を中心としたネタもあります。今の時代、動画やPDFのようなネタも重要です。

ネタ集めのポイントをあげるとすればひとつだけあります。それは、

「関係あると思ったものは全部ネタと思え」ということ。

なんで気になったのか全く分からない。でも何かが気になってしまった。そんなものがあれば立派なネタです。「必要があるか、ないか」の判断はあとまわしにして、ピンときたら自分を信じればいいだけです。

マインドピースを徹底活用するならば、デジタルデータになるものは全部デジタルに変換しておきましょう。

ピースを追加し、まずタイトルをつけます。後から身返すときに分かりやすいように、タイトルはそのネタを的確に要約したキーワードにするのがコツです。

ヒラメキネタは簡潔な言葉で。ノートテキスト機能

ほとんどのネタはテキストのはず。長文テキストは「ノートテキスト機能」を使い、ピースのノート欄に書きます。ウェブページやメールからのコピー&ペーストもウェルカム。小さなピースに長文も収まるので、どんどん活用しましょう。

ネタ集めの途中でアイデアをヒラメくことがあります。逃がさずに捕まえましょう。捕まえたアイデアは、3行程度の短い要約文としてノートに書き込み、ナイスなタイトルをつけます。

ここでの注意点は、どんなにつまらないと思えるアイデアも決してつぶさないということ。ここでつぶしてしまう人は実はとても多いのです。でもつぶしてしまうと次のアイデアは出てきにくくなります。

どんなアイデアも書き出すという行為で「いったん採用」してあげてください。そうすることで、アイデアが湧き出る体質になってきます。

ビジュアルネタで右脳を刺激する。イメージリンク機能

写真やイラスト、手書きの図なども、立派なネタです。デジタル化できるものはデジタル化して、「イメージリンク機能」でマインドピースに貼付けましょう。

ピースメニューから「イメージ>画像ファイルを開く」で、そのピースに画像を貼ることができます。

ダブルクリックで元ファイルが開くので、大きなサイズの写真やチャート画像のサムネールとして活用するものいいでしょう。

画像はとてもインパクトがある要素なので大切にします。とくにテーマに関わる重要な要素などは画像が必須です。データがなければマジックで手書きのイラストを書いてデジカメでとってでも貼付けておきたいものです。

僕は手書きの図やイラストを書いたら、写メールで自分のPCに送るようにしています。最近のケータイなら、A4程度の手書きメモならきれいに保存できます。手書きネタの多い人におススメのテクニックです。

Googleイメージ検索

僕は《Googleイメージ検索》を「発想ツールとして」よく使う。

「なんだか絵が少なくて印象が薄いなぁ」というときや「コンセプトはいいがビジュアルが見えない」といったときに力を発揮する。

気になっているワードで検索してみる。するとそのワードに関連した世界中の画像が一覧で表示される。これだと思う画像をダウンロードし、ピース画像として拝借するのだ。

著作権の問題があるので人に見せるときは注意が必要だが、自分だけのネタづくりの範囲であれば問題ないだろう。

ズルイけどこれもれっきとした発想法。画像に限らずこのような検索は使いようによっては抜群の威力を発揮するので、自分なりの活用法を確立しておきたい。

  http://images.google.com/

ウェブサイトもそのままネタに。URLリンク機能

インターネット経由でネタを集めることも多いでしょう。

マインドピースには「URLリンク機能」があるので、ウェブサイトを直接ネタとしてあつかえます。

ネットサーフィンで気になるページを見つけたら、すかさずURLをコピーし、マインドピースにペーストします。それだけでリンク付きのピースが追加されます。ついでにウィンドウをキャプチャーして、そのピースに貼付ければ、サムネールつきのWebリンクのできあがり。

ピース内の青いアイコンをクリックすれば、いつでもブラウザが立ち上がります。ネットを活用したい人に積極的に使ってほしい機能です。

URLだけを集めて階層式ブックマークとしての使い道もありますね。

ローカルファイルだってもちろん。ファイルリンク機能

画像ファイル以外にも、「ファイルリンク機能」であらゆるローカルファイルをリンクすることができます。

クリックひとつでファイルを起動できるので、ネタのPDFや、動画ファイルをリンクしておくと便利ですね。

さらに、マインドピース書類自身をリンクすることもできます。ピースをクリックすると、別のマインドピース書類が開くという、クレバーな使い方もGOODです。

アイデアを即、実行できる。チェックボックス機能

アイデアをヒラメくこと。それはとても重要な作業。だけど、もう一つ同時に重要なことがあります。

それは、思いついたアイデアを「実行する」ということ。

一般的には、アイデアを発想することと、それを実行することは分けて考えます。実行可能なアイデアはそれをまとめ、企画として仕上げる。いわゆる企画立案作業です。

企画のようにきっちりと段階があるものはそれでいいでしょう。だけど、もっと個人的な内容はどうでしょう。企画なんて大げさじゃなく、その場で実行できる、そんなサイズのアイデアだってあるはずです。

小さなアイデアを日々「実行する」その行動がとても大切。

だからマインドピースには「チェックボックス機能」があります。

アイデアを思いついたらそれに空のチェックボックスをつける。それを実行する。チェックボックスをチェックする。簡単なこと。

たとえば「今日やることをチェックボックスにする」というToDo的な使い方もできます。それでいいんです。思いついたことを「実行する」ためのちょっとした強制力として、このチェックボックスがあればいいのですから。

それだけで「思いついたことはやる」という体質ができる。すごく大事。

大きな企画を「考える」のもマインドピースの仕事。だけどこじんまりとした、今日明日の自分の過ごし方みたいなアイデアを「考える」のもマインドピースの仕事。

アイデアの大小なんて関係ない。生まれたアイデアをきちんと「結果」にすること。それがいちばん大切なのだと思うわけです。